令和5年度賃貸不動産経営管理士試験問題 問5
【問 5】 賃貸住宅管理業者であるAと賃貸人Bとの間の管理受託契約における、家賃等の金銭管理を行う業務についての次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- AはBの指揮命令に従い金銭管理を行う必要がある。
- Aは金銭管理を行う際、自らの財産を管理するのと同程度の注意をもって行う必要がある。
- Aが自己の財産と区別して管理しているBの金銭に利息が生じた際、この利息を除いた額をBに引き渡すことができる。
- Aは、Bの承諾があれば、金銭管理を行う業務を第三者に再委託することができる。

令和5年度賃貸不動産経営管理士試験問題 問5の解説
1.AはBの指揮命令に従い金銭管理を行う必要がある。
この選択肢「賃貸住宅管理業者の金銭管理は、法定による管理を行う」ことががポイントです。
賃貸住宅管理管理業法16条に、「賃貸住宅管理業者は、国土交通省令で定める方法により管理しなければならない。」と規定されています。賃貸住宅管理業者は、自己の固有財産及び他の管理業務で受領する家賃、敷金、共益費等と分別して管理しなければなりません。
その為、選択肢①は誤っています。
2.Aは金銭管理を行う際、自らの財産を管理するのと同程度の注意をもって行う必要がある。
この選択肢は、「賃貸住宅管理業者は、善良なる管理者の注意をもって金銭管理を行わなければならい」ことががポイントです。
管理受託契約は、民法644条の「委任契約」に該当します。同法で「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」(善管注意義務)と規定されていますので、善管注意義務に比べて、自らの財産を管理するのと同程度の注意(固有財産におけるのと同一の注意)では注意が不足していると判断されます。
その為、選択肢②は誤っています。
3.Aが自己の財産と区別して管理しているBの金銭に利息が生じた際、この利息を除いた額をBに引き渡すことができる。
この選択肢は、「賃貸人の金銭の利息は、賃貸人へ引渡さなければならない」ことががポイントです。
管理受託契約は、民法644条の「委任契約」に該当します。賃貸住宅管理業者は、民法646条の「受任者による受取物の引渡し」の規定により、管理している賃貸人の金銭及びその収取した果実(利息)を賃貸人に引き渡さなければなりません。
その為、選択肢③は誤っています。
4.Aは、Bの承諾があれば、金銭管理を行う業務を第三者に再委託することができる。
そのままです。B(賃貸人)の承諾があれば、金銭管理を行う業務を第三者に再委託することができます。
管理受託契約は、民法644条の「委任契約」に該当します。委任契約では、民法648条の二第1項の規定により、①委任者の許諾を得たとき、②やむを得ない事由があるときに、復受任者を選任することができます。このため、賃貸住宅管理業者は、賃貸人承諾により金銭管理を第三者に再委託できます。
その為、選択肢④は正しいです。
