「賃貸不動産経営管理士」の試験というか、不動産の賃貸借契約と切っては切れない関係の敷金。
賃貸借契約の時に、とりあえず支払っている敷金や礼金についての解説となります。
敷金と礼金
借り手市場となっている、不動産の賃貸業界では敷金や礼金があるとなかなか借り手がつかなくなってきています。
その為、最近では敷金や礼金ゼロの賃貸物件が増えてきています。
「賃貸不動産経営管理士」の試験では、いままで敷金の問題が何回か出題されていますので、解説をします。
敷金について
民法では敷金について、「賃料その他の賃貸借契約上の様々な債務を担保する目的で賃借人が貸借人に対して交付する停止条件付きの返済債務を伴う金銭」と定められています。
借主が、万が一賃料が払えなかった場合や退去時の原状回復費として予め預かっておく金銭になります。

礼金について
部屋を所有する大家さんに対して、お礼の意味として支払います。
敷金と違って、退去時に返金されることはありません。
「賃貸不動産経営管理士」の試験には、今まで出題されていませんので、礼金の解説はこのくらいで終わりです。
「賃貸不動産経営管理士」の試験に出る敷金の問題
- 賃貸借契約の時に支払う敷金ですが、敷金の契約と賃貸借契約は別々の契約となります。
- 通常、賃貸借契約と同時に敷金の差し入れをしますが、法律上別々の契約の為、賃貸借契約の締結後に入金することも可能です。
- 賃貸借契約が終了した場合、敷金の返還と明渡しは、明渡しが先履行となります。
- 敷金は、滞納賃料のほか、原状回復義務の対象となる借主の毀損・汚損に対する損害賠償、借主が無権限で施工した工事の復旧費も担保の対象になります。
- 敷引特約(賃貸借契約終了時に、貸主が敷金の一部を取得する特約。)に関し、判例は、敷引金の額が賃料の額等に照らし高額に過ぎるなどの事情があれば格別、そうでない限り、これが信義則に反して消費者である借主の利益を一方的に害するものということはできない旨を判示している。
- 借主の地位の承継があったとしても、特段の事情のない限り、敷金は新借主に承継されません。

敷金返還請求権について
この言葉もよく「賃貸不動産経営管理士」の試験では出ます。
簡単に書くと、敷金を貸主に預けていますので、敷金を返してくれという権利です。
①基本、敷金返還請求権は、基本建物の明け渡しが終わった後に発生しますが、賃貸借契約と敷金の契約は別々の契約になりますので本来解約時にしか戻ってこない敷金を貸主の承諾があれば敷金を滞納分の賃料の支払いに充当することが可能です。(借主が一方的に敷金を、未納分に充当することはできません。)
賃貸借契約書に借主からの敷金の相殺について禁止する条項がない場合、借主は契約期間中、敷金返還請求権と賃料債務を相殺することができる。
誤っています。
②敷金の返還(敷金返還請求権)と明渡しは、明渡しが先履行となります。
借主は、敷金の返還があるまで、賃貸物件の明け渡しを拒否することはできません。
賃貸借契約書に敷金の返還時期について何らの定めもない場合、借主は敷金の返還を受けるまでの間、建物の明渡しを拒むことができる。
誤っています。
借主の債権者が、敷金返還請求権を差し押さえた場合でも敷金の返還は明け渡し後となります。明け渡し後、未払いの賃料や原状回復費用が発生した場合、その未払賃料等の額を控除した後の残額の敷金を差押債権者に支払えば足ります。
③借主の地位の承継があったとしても、特段の事情のない限り、敷金は新借主に承継されません。
