平成28年度 賃貸不動産経営管理士試験問題 問21
敷金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 敷金契約は、賃貸借契約に付随する契約であるから、敷金契約のみを合意解除することはできない。
- 敷金は、賃貸借契約上の債務を担保するための金銭であるから、賃貸借契約の締結後に預け入れることはできない。
- 敷金返還請求権は、賃貸借契約が終了し、借主が建物を明け渡したときに発生するから、貸主は、借主が建物を明け渡すまでの間に、未払賃料に敷金を充当することはできない。
- 借主の債権者が、賃貸借契約の継続中に敷金返還請求権を差し押さえた場合、借主が建物を明け渡したときに賃料の未払がある場合には、貸主は敷金から未払賃料額を控除した後の残額の敷金を差押債権者に支払えば足りる。

平成28年度 賃貸不動産経営管理士試験問題 問21の解説
1.敷金契約は、賃貸借契約に付随する契約であるから、敷金契約のみを合意解除することはできない。
敷金契約は、賃貸借契約に付随する契約ですが、賃貸借契約とは別個独立の契約です。
別個独立の契約ですので、貸主と借主の合意により解約することは可能です。
その為、選択肢①は誤っています。
コロナ渦の影響などで賃料が支払えなくなった方などは、貸主との合意により現在預託中の敷金を未納の賃料に充当するできる場合もあります。
2.敷金は、賃貸借契約上の債務を担保するための金銭であるから、賃貸借契約の締結後に預け入れることはできない。
敷金は、賃貸借契約上の債務を担保するための金銭ですが、賃貸借契約の締結後に預け入れることもできます。
その為、選択肢②は誤っています。
3.敷金返還請求権は、賃貸借契約が終了し、借主が建物を明け渡したときに発生するから、貸主は、借主が建物を明け渡すまでの間に、未払賃料に敷金を充当することはできない。
本来、敷金の敷金返還請求権は、賃貸物件の明け渡し後に発生します。
貸主は、明渡し前(建物を明け渡すまでの間)でも預託中の敷金を未払いの賃料の充当することができます。
その為、選択肢③は誤っています。
4.借主の債権者が、賃貸借契約の継続中に敷金返還請求権を差し押さえた場合、借主が建物を明け渡したときに賃料の未払がある場合には、貸主は敷金から未払賃料額を控除した後の残額の敷金を差押債権者に支払えば足りる。
そのままです。
借主の債権者が、賃貸借契約の継続中に敷金返還請求権を差し押さえた場合、借主が建物を明け渡したときに賃料の未払がある場合には、貸主は敷金から未払賃料額を控除した後の残額の敷金を差押債権者に支払えば足ります。
貸主は、賃貸借契約の継続中に敷金返還請求権を差し押さえた場合でも、賃貸物件の明け渡しまで借主の債権者に預託中の敷金を支払う必要がありません。
明渡し後も、借主の未払賃料額を控除した後の残額の敷金を差押債権者に支払うだけで大丈夫です。
その為、選択肢④は正しいです。
