令和5年度賃貸不動産経営管理士試験問題 問1
【問 1】 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、各問において「賃貸住宅管理業法」という。)に定める賃貸住宅管理業者が管理受託契約締結前に行う重要事項の説明(以下、各問において「管理受託契約重要事項説明」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア 業務管理者ではない管理業務の実務経験者が、業務管理者による管理、監督の下で説明することができる。
イ 賃貸人の勤務先が独立行政法人都市再生機構であることを確認の上、重要事項説明をせずに管理受託契約を締結することができる。
ウ 賃貸人本人の申出により、賃貸人から委任状を提出してもらった上で賃貸人本人ではなくその配偶者に説明することができる。
エ 賃貸人が満 18 歳である場合、誰も立ち会わせずに説明することができる。
- なし
- 1つ
- 2つ
- 3つ

令和5年度賃貸不動産経営管理士試験問題 問1の解説
ア 業務管理者ではない管理業務の実務経験者が、業務管理者による管理、監督の下で説明することができる。
管理受託契約締結前に行う重要事項の説明をする者が「業務管理者ではない管理業務の実務経験者」で、あることがポイントです。
賃貸住宅管理業法では、管理受託契約に係る重要事項説明は、業務管理者によって行われることは必ずしも必要ではありませんが、重要事項について、正確な情報を適切に説明することで、賃貸住宅のオーナーが十分に理解をした上で契約締結の意思決定ができるよう、業務管理者や一定の実務経験を有する者など、管理業務に関する専門的な知識及び経験を有する者に説明を行わせることを推奨しています。(国土交通省、賃貸住宅管理業法 FAQ集(令和6年6月11日時点版)より)
その為、選択肢アは正しいです。
イ 賃貸人の勤務先が独立行政法人都市再生機構であることを確認の上、重要事項説明をせずに管理受託契約を締結することができる。
この選択肢は、「賃貸人が独立行政法人都市再生機構ではない」ことがポイントです。
賃貸住宅管理業法第13条第1項では、賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結する前に、賃貸人に対して重要事項を説明しなければならないとされています。この規定は、賃貸人が独立行政法人都市再生機構の場合は、重要事項に係る書面交付及び説明は不要となますが、賃貸人の勤務先が独立行政法人都市再生機構であるだけでは、必ずしも「管理受託契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者」とは限らないため、賃貸人に対して重要事項を説明しなければなりません。
その為、選択肢イは誤っています。
ウ 賃貸人本人の申出により、賃貸人から委任状を提出してもらった上で賃貸人本人ではなくその配偶者に説明することができる。
この選択肢は、「重要事項説明を受ける際に、委任状で配偶者が賃貸人の代理人になれるか?」がポイントです。
賃貸住宅管理業法第13条第1項では、賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結する前に、賃貸人に対して重要事項を説明しなければならないとされていまが、契約の相手方本人の意思により、委任状等をもって代理権を付与された者に対し、重要事項説明を行った合は当該説明をしたと認められます。(国土交通省、賃貸住宅管理業法 FAQ集(令和6年6月11日時点版)より)
その為、選択肢ウは正しいです。
エ 賃貸人が満 18 歳である場合、誰も立ち会わせずに説明することができる。
この選択肢は、「18歳以上の賃貸人が単独で契約を締結する能力を有するか否か」であることがポイントです。
民法の成年年齢が、民法の一部を改正する法律(平成30年法律第59号)により、満18歳に引き下げられました(令和4年4月1日施行)。このため、18歳以上の賃貸人は単独で契約を締結する能力を有することになりました(ただし、18歳未満の場合は親権者又は後見人の同意が必要です)。つまり、賃貸人が満18歳であれば、親権者又は後見人の立ち会いを経ずに説明することができます。
その為、選択肢エは正しいです。
