令和2年度賃貸不動産経営管理士試験問題 問28
【問 28】 普通建物賃貸借契約の更新及び終了に関する以下の記述のうち、正しいものはどれか。
- 期間の定めのある建物賃貸借契約において、借主は1か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めても無効であり、期間が満了するまでは契約は終了しない。
- 期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主は3か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めた場合であっても、正当事由のない解約申入れは無効である。
- 期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主と借主が賃貸借契約の終期から1年以上前の時点で、同契約を更新することにつき合意することはできない。
- 期間の定めのない建物賃貸借契約において、貸主が解約を申し入れた場合、正当事由を具備することで、解約申入日から3か月の経過により契約が終了する。

貸主からの普通建物賃貸借契約の解除
- 期間の定めのある建物賃貸借契約の場合、貸主は契約期間満了日の1年前から6か月前までの間に「更新拒絶通知」を借主に出すことになります。(借地借家法第26条1項)
- 期間の定めのない建物賃貸借契約の場合、貸主は「解約申入れ」を借主に出すことになり、「解約申入れ」から6ヶ月間が経過したときに契約は終了することになります。(借地借家法第27条1項)
期間の定めのあるないにかかわらず、貸主から賃貸借契約を解除する場合には正当事由が必要です。
賃貸借契約を解除の正当事由
- 建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む)がそれぞれ当該建物の使用を必要とする事情
- 建物の賃貸借に関するこれまでの経過
- 建物の利用状況
- 建物の現況
- 建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として立退料の支払いを申し出た場合にはその申出を総合的に考慮して、更新の拒絶または解約の申入れに正当の事由があるかを決める。

令和2年度賃貸不動産経営管理士試験問題 問28の解説
1.期間の定めのある建物賃貸借契約において、借主は1か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めても無効であり、期間が満了するまでは契約は終了しない。
借主は1か月前に予告することで解約することができるとの特約は、借主に不利な特約ではありませんので有効です。
期間の定めのある建物賃貸借契約では、上記の様な特約がある場合、借主から契約解除の予告をされてから1か月後の契約は解除となります。
その為、期間が満了するまでは契約は終了しないとい選択肢①は誤っています。
2.期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主は3か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めた場合であっても、正当事由のない解約申入れは無効である。
貸主は3か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めても、借主に不利な特約となる為無効です。
期間の定めのある建物賃貸借契約の場合、貸主は契約期間満了日の1年前から6か月前までの間に「更新拒絶通知」を借主に出すことになります。(借地借家法第26条1項)
その為、解約申入れは無効という選択肢②は正しいです。
3.期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主と借主が賃貸借契約の終期から1年以上前の時点で、同契約を更新することにつき合意することはできない。
契約の自由がありますので、賃貸借契約の終期から1年以上前の時点で貸主と借主の合意で賃貸借契約を更新する事は可能です。
その為、貸主と借主が賃貸借契約の終期から1年以上前の時点で、同契約を更新することにつき合意することはできないという選択肢③は誤っています。
4.期間の定めのない建物賃貸借契約において、貸主が解約を申し入れた場合、正当事由を具備することで、解約申入日から3か月の経過により契約が終了する。
期間の定めのない建物賃貸借契約の場合、貸主は「解約申入れ」を借主に出すことになります。
解約申入れから6ヶ月間が経過したときに契約は終了することになります。(借地借家法第27条1項)
その為、解約申入日から3か月の経過により契約が終了するという選択肢④は誤っています。
