令和2年度賃貸不動産経営管理士試験問題 問31
【問 31】 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(国土交通省平成 23 年8月。以下、各問において「ガイドライン」という。)の考え方を前提とした場合、原状回復に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
- ア 借主の喫煙を理由として壁クロスの交換が必要となった場合、6年で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。
- イ 借主の過失によりフローリング床全体の張り替えが必要となった場合の張り替え費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる。
- ウ 耐用年数を経過した壁クロスであっても、借主が故意に落書きをした部分を消すのに要する費用は、借主の負担となることがある。
- エ 借主の過失により必要となったクッションフロアの交換費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる。
- ア、イ
- ア、ウ
- イ、エ
- ウ、エ

令和2年度賃貸不動産経営管理士試験問題 問31の解説
ア 借主の喫煙を理由として壁クロスの交換が必要となった場合、6年で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。
そのままです。
借主の喫煙を理由として壁クロスの交換が必要となった場合、6年で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。
その為、選択肢アは正しいです。
イ 借主の過失によりフローリング床全体の張り替えが必要となった場合の張り替え費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる。
フローリングについての経過年数の考慮については、フローリングの原状回復工事として部分補修が前提とされ、経過年数を考慮しないと規定されていました。しかし、フローリング全体にわたっての毀損により床全体の張替えが必要になる場合もときにはあり、その場合には経過年数の考慮をすることが適当と考えられますが、その旨が明記されておらず疑義が生じていた場合もあったため、張り替えた場合には経過年数を考慮する旨が確認的に規定されたものです。
原状回復ガイドラインより引用
フローリング床に部分補修には、経年劣化が考慮しないと規定されていました。
フローリング床全体の補修をする場合には、経年劣化を考慮することが適当と考えられています。
その為、床全体を補修する時、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる選択肢イは誤っています。
ウ 耐用年数を経過した壁クロスであっても、借主が故意に落書きをした部分を消すのに要する費用は、借主の負担となることがある。
実務上では、耐用年数を経過した壁クロスを交換する費用を請求することは、ほとんどできません。
しかし、法律上、借主の故意によりクロスの交換や清掃が必要になったときは、クロス自体の金額を請求することはできませんがクロスの交換費用(工賃)や清掃費を請求することができるようになっています。
その為、選択肢ウは正しいです。
エ 借主の過失により必要となったクッションフロアの交換費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる。
クッションフロアには、フローリングと違い経年劣化を考慮します。
壁クロスと同じように、6年で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定します。
その為、クッションフロア交換費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる選択肢エは誤っています。
