「賃貸不動産経営管理士」の試験に毎年出題されています賃貸不動産経営管理士「倫理憲章」の解説です。

賃貸不動産経営管理士「倫理憲章」とは
賃貸不動産経営管理士の社会的地位の向上、社会的信用の確立と品位保持、資質の向上を図るために制定するガイドラインの様なものになります。
賃貸不動産経営管理士「倫理憲章」は、7つの項目が制定されています。
1. 公共使命
賃貸不動産経営管理士のもつ、公共的使命を常に自覚し、公正な業務を通して、公共の福祉に貢献する。
2. 法令の遵守と信用保持
賃貸不動産経営管理士は関係する法令とルールを遵守し、賃貸不動産管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為、および社会通念上好ましくないと思われる行為を厳に慎む。
3. 信義誠実の義務
賃貸不動産経営管理士は、信義に従い誠実に職務を執行することを旨とし、依頼者等に対し重要な事項について故意に告げず、又は不実のことを告げる行為を決して行わない。
4. 公正と中立性の保持
賃貸不動産経営管理士は常に公正で中立な立場で職務を行い、万一紛争等が生じた場合は誠意をもって、その円満解決に努力する。
5. 専門的サービスの提供および自己研鑽の努力
賃貸不動産経営管理士はあらゆる機会を活用し、賃貸不動産管理業務に関する広範で高度な知識の習得に努め、不断の研鑽により常に能力、資質の向上を図り、管理業務の専門家として高い専門性を発揮するよう努力する。
6. 能力を超える業務の引き受け禁止
賃貸不動産経営管理士は、自らの能力や知識を超える業務の引き受けはこれを行わない。
7. 秘密を守る義務
賃貸不動産経営管理士は、職務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしてはならない。その職務に携わらなくなった後も同様とする。

賃貸不動産経営管理士の試験「倫理憲章」の出題傾向
「倫理憲章」の問題では、上記の7つの中の4つが選ばれ出題される事が多いです。
その4つの中の1つの正誤を答える問題になります。
今までの試験で出題された内容を解説します。
法令の遵守と信用保持
法令の遵守と信用保持に関しては、賃貸不動産管理業界全体の社会的信用より自己の所属する管理業者の信用獲得を優先し、自己の所属する管理業者に対する社会的信用を傷つける行為や社会通念上好ましくないと思われる行為を特に慎むべきである。(令和元年 問38 選択肢③より)
賃貸不動産管理業界全体に対する社会的信用を傷つけるような行為や、社会的倫理に反するような社会通念上好ましくないと思われる行為はを特に慎むべきであるとされています。
その為、上記の選択肢は誤っています。

公正と中立性の保持
公正と中立性の保持に関しては、依頼者に対する信義誠実義務や、利益相反行為の禁止の観点から、常に依頼者の立場に立って対応することが必要である。(平成28年 問2 選択肢④より)
賃貸不動産経営管理士は、常に依頼者の立場で職務を行い、万一紛争等が生じた場合には、誠意をもって、その円満解決に努力しなければならない。(平成29年 問38 選択肢ウ及び平成30年 問38 選択肢ウより)
上記2つの選択肢は、誤っています。賃貸不動産経営管理士は、依頼者の立場だけではなく貸主及び借主の意見に耳を傾け公正中立に問題を解決しないといけません。

専門的サービスの提供および自己研鑽の努力
賃貸不動産経営管理士が賃貸不動産経営に関与するに当たっては、依頼者である賃貸不動産の所有者が不動産を売却して利益の確定を図る場合のように、依頼者の一時点での利益の確定及びその最大化を求めなければならない。(平成27年 問3 選択肢④より)
賃貸不動産経営管理士が賃貸不動産経営に関与するに当たっては、依頼者の一時点での利益の確定及びその最大化を求めるのではなく、長期的視点により、継続的に利益の獲得・維持を図ることが求められます。
その為、上記の選択肢は誤っています。
秘密を守る義務
秘密を守る義務とは、職務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしてはならないことであり、賃貸不動産経営管理士の資格証を有している限りにおいて、守らなければならない義務とされる。(平成29年 問38 選択肢ア及び平成30年 問38 選択肢アより)
個人情報の問題と重複すると事がありますが、職務上知り得た秘密や情報は理由なく他に口外をしてはいけません。
当然ですが、賃貸不動産経営管理士の資格証を有している間だけではありません。賃貸不動産経営管理士の資格証がなくなったり当該賃貸不動産の管理に携わらなくなった後も、守らなければならない義務とされています。
その為、上記の選択肢は誤っています。
