「賃貸不動産経営管理士」の試験によく出題されている賃貸物件の借主の募集についての解説です。
このジャンルも毎年出題されています。
宅地建物取引士の試験の内容とも重複部分もあります。

賃貸物件の借主の募集
賃貸物件の管理を行う上で一番重要なのが、この賃貸物件の借主の募集です。
借主がいないと貸主は賃料収入を得ることができませんので、賃貸経営をすることができません。
貸主としては、いい入居者に長く住んでもらい賃貸経営を安定させたいですね。
「賃貸不動産経営管理士」の試験に出題される内容は、下記になります。
- 借主の募集を行うための事前準備
- 借主の募集のために行う広告
- 入居審査
- 入居者の決定
一つずつ説明をして行きます。
借主の募集を行うための事前準備
借主が、部屋を内見するときの為に、現地に図面・メモ用紙・ペン・メジャー・スリッパの設置や家具などを用意しておくと入居後のイメージをしやすいので借主から申し込みを貰いやすくなります。
借主の多くは、不動産業者経由又はインターネット経由で物件情報の収集を行っているから、インターネットは募集媒体として重要視するべきです。
前の借主が設置した設備を残置物として新しい借主に貸す場合、貸主は、当該設備は残置物扱いですので故障してもその修理費を負担しなくていいですが、実際に利用できるかどうかは調べておく必要があります。
管理業者は、物件に法的な問題がないかどうかの確認を行います。物件の権利関係の調査のために登記記録を閲覧するときは、乙区に基づき、登記上の名義人と貸主が異ならないかを確認する必要があります。
分譲マンション(区分所有建物)の1住戸を賃貸する場合、当該マンションの管理組合が定めた管理規約等、借主が遵守しなければならない事項について確認する必要があります。
借主の募集のために行う広告
借主の募集は、管理業者が業として行う場合は、宅地建物取引業の免許が必要です。
賃貸物件の貸主が自ら借主を募集する場合は、宅地建物取引業の免許は不要です。
宅地建物取引業の免許を取得していない賃貸管理業者は、宅地建物取引業の免許を取得している業者に借主の募集を依頼しないといけません。
管理業者が宅地建物取引業者である場合、募集業務を行うときは不動産の表示に関する公正競争規約に従う必要があります。このことは、広告会社に募集広告の内容を全面的に任せて作成させた場合であっても同じです。
借主の募集の広告では、自転車による所要時間は、走行に通常要する時間の表示に加え、道路距離を明示する。
借主の募集の広告では、建築後1年以上経過し、または居住の用に供されたことがあるマンションであって住戸ごとに賃貸するものを中古賃貸マンションと表示します。
当然ですが、物件は存在するが実際には取引することができない物件の募集の広告(おとり広告)をしてはいけません。
上記と同様に、インターネット広告で不注意により契約済み物件を削除せず広告の更新予定日後も掲載し続けることは、「おとり広告」に該当します。
借主の入居審査
実際に申込みを行っている人物が、入居申込書等の書類上の申込者と同一であるかどうかを確認することが重要です。
借主である本人、又は借主が法人である場合は法人の関係者が、反社会的勢力でないかどうかの確認が重要です。
一定の要件を満たす外国人にも住民票は発行されますので、申込者が外国人の場合でも住民票を身元確認書類として利用することができます。
申込者が高齢の場合、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の精神にかんがみ、理由なく申込みを拒んではならない。
入居資格審査は、時間をかけすぎると、借受希望者がほかの物件を賃借してしまうこともあり得るため、迅速性が求められます。

借主(入居者)の決定
管理受託方式では、借受希望者が当該物件に入居するのがふさわしいかどうかや入居条件が妥当かどうかを最終的に判断するのは貸主です。
「賃貸不動産経営管理士」の試験上、借受希望者に対する入居可否の通知は、書面で行うとなっています。
「賃貸不動産経営管理士」の試験上、借受希望者に対し、入居を断る場合には、個人情報保護の観点から、入居申込書等の書類を返却する。
